多くの人にとって身近なコーヒー。実は、コーヒーにはダイエットやボディメイクに役立つ効果があるんです!
さまざまな研究によって、カフェインの摂取が運動のパフォーマンスを高めることが、明らかになっています。
カフェインを手軽に摂取できるコーヒーをトレーニング前に飲めば、「脂肪燃焼の促進」「筋トレの効果アップ」などのメリットが期待できます。トレーニング前のコーヒーがよい理由や効果的な飲み方、注意点などについてご紹介します。
カフェイン摂取は昔は「ドーピング」だった!?
カフェイン摂取が運動のパフォーマンス向上につながることは古くから知られており、かつては国際オリンピック委員会をはじめとする多くのスポーツ団体がカフェインを「ドーピング指定」していた時代があります。
しかし、カフェインはコーヒーやお茶などで日常的に摂取されており、取らないのが難しいことや、最近の研究で大量摂取すると逆に効果が上がらなくなることもわかってきました。そのため2004 年以降は禁止物質から除外され、現在は多くのアスリートがトレーニング前や試合前にカフェインを利用しています。
また、カフェインが持つさまざまなメリットは、アスリートのみならず、体重管理やボディメイクを目的にトレーニングをするかたにも注目されるようになりました。
トレーニング前にコーヒーを飲むメリットは?
まずは、トレーニング前にコーヒーを飲むことで、どのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。
脂肪燃焼効果の向上
カフェインには、代謝を促進し、脂肪燃焼を助ける効果があります。
スペインのグラナダ大学の研究では、有酸素運動の30分前に「濃いめのコーヒー1杯」相当量のカフェインを摂取すると、脂肪燃焼の効率を示す値(MFO)が午前中は約10%、午後は約29%も上がったと報告されています。
トレーニング前にコーヒーを飲むことで、運動中の脂肪燃焼が促進され、ダイエット効果をさらに高めることが期待できます。
筋力の増強
カフェインは、多くの研究で、筋力、スピード、ジャンプ力の向上に寄与すると報告されています。
特に注目されるのが、カフェインの摂取による一時的な筋力の増強効果です。ポーランドで行われた研究では、カフェイン摂取の30分後に筋肉の収縮速度や硬さが高くなり、筋力が増強されることが示されました。ただしカフェイン摂取から60分経過すると、これらの数値は摂取前の値に近づいていきました。
このことから、強度の高いウェイトトレーニングや短距離走などの瞬発力が求められる運動においても、パフォーマンスの向上が期待されます。
集中力の向上
コーヒーに含まれるカフェインには、脳の疲労を軽減する効果があります。これにより、トレーニング中に疲労を感じにくくなり、長時間のトレーニングでも集中力を維持しやすくなります。
さらに、カフェインは眠気を抑え、脳を覚醒状態に保つ役割も果たします。この覚醒作用により、トレーニング中のモチベーションや集中力を維持する効果が期待されます。集中力が高まることで、トレーニングの質も向上すると考えられます。
持久力の向上
カフェインは体内の脂肪をエネルギー源として利用し、グリコーゲン(筋肉に蓄えられたエネルギー)の消耗を遅らせる効果があるため、長時間にわたる運動でもエネルギー切れを起こしにくくなり、持久力を必要とする運動にも効果的です。
また、カフェインが脳の疲労感を軽減する点も、ランニングやサイクリングといった持久系の運動でも集中力を保ちやすくなり、結果として持久力を向上させることにつながります。
効果的なコーヒーの飲み方
続いて、カフェインの効果を最大限に高めるための、コーヒーの飲み方をご紹介します。
摂取の目安は30分〜1時間前
コーヒーのカフェインが体内に吸収され、効果を発揮するまでには約30分から1時間かかると言われています。運動の開始直前に飲むと、効果を感じる前に終わってしまうかもしれません。トレーニング前にコーヒーを飲むタイミングは、運動の開始時間の30分〜1時間前に調整するのが理想的です。
量の目安はカップ1杯程度
トレーニング前にコーヒーを飲む場合、量はカップ1杯(約150〜200ml)程度を目安にしましょう。おおよそ100mg前後のカフェインを摂取することになり、運動パフォーマンスの向上に適した量とされています。 過剰に摂取すると、めまいや心拍数の増加などの副作用が出る可能性もあるため、適量を守ることが大切です。特に、カフェインに敏感なかたは少量ずつ飲み、体の反応を確認しながら、自身の適量を見極めるようにしましょう。
砂糖は入れずブラックで飲む
トレーニング効果を最大限に引き出すためには、コーヒーはブラックで飲むのが最適です。砂糖やミルクを入れると、余分なカロリーが加わり、せっかくの脂肪燃焼効果が帳消しになってしまうかもしれません。
また、糖分の摂取による血糖値の急上昇や急下降もトレーニング中のパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、注意しましょう。
トレーニング前にコーヒーを飲むときの注意点
最後に、トレーニング前にコーヒーを取り入れる際に注意したい2つのポイントをご紹介します。
1日のコーヒー量は最大3〜4杯に留める
カフェインの1日の摂取量の目安は、健康な成人で400mg程度とされています。これは、コーヒー約3〜4杯分に相当します。カフェインの過剰摂取には副作用が生じる恐れがあります。そのため、トレーニング時だけでなく、日常的にコーヒーを飲む量にも気をつけましょう。
また、エナジードリンクやお茶など、コーヒー以外のカフェイン含有飲料の量にも注意し、1日のカフェイン摂取量を管理することが大切です。
カフェインによる副作用に注意する
カフェインを過剰に摂取すると、めまいや心拍数の増加、消化不良や下痢、吐き気、不安感やイライラなどの副作用が現れることがあります。特に、夕方以降にコーヒーを飲むと、寝付きが悪くなり、睡眠障害につながる恐れもあります。トレーニングの時間帯やコーヒーを飲むタイミングに注意しましょう。
なお、カフェインの副作用については個人差があるため、カフェインに敏感なかたは少量ずつ試し、自分の適量を見極めるようにしましょう。
コーヒーを上手にトレーニングに取り入れよう
トレーニング前の適度なカフェインで、脂肪燃焼効果や集中力を高める効果が期待できます。
過剰摂取には十分に注意し、コーヒーを上手くトレーニングに取り入れてみましょう!
参考文献
『カフェインとパフォーマンスとの関係について、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解』一般社団法人日本スポーツ栄養協会「スポーツ栄養Web」
『食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A』厚生労働省
『Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation?』
『Muscle contraction time after caffeine intake is faster after 30 minutes than after 60 minutes』
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